>>  【PDF(214 KB)】  
分子システム工学−有機半導体は光エレクトロニクスの未来を開く−
助教授 平本昌宏、 助手 長山智男、 助手 中山健一
URL:http://www-molsys.mls.eng.osaka-u.ac.jp
 
有機半導体の光・電子物性
大面積の有機半導体を用いた太陽電池
<10cm2の大面積の有機半導体を用いた太陽電池
次世代太陽電池として研究が大きく進展している">
無機シリコン半導体と同じように、電気を流し半導体として振る舞う一群の有機物があります。これらは有機半導体と呼ばれ、たとえば、その代表的な性質である「光で電気が流れる」、光導電性は、日頃誰もが利用している複写機やレーザプリンタの感光体材料として使われています。また光を電気に変える太陽電池にも利用できます。逆に、電気を流すと発光し、ディスプレイとして利用できるものもあります。このように有機半導体は、将来の光エレクトロニクスのキーマテリアルとして大きな期待が寄せられています。その性質は、分子の種類や配列によって大きく変化します。私たちは、このような有機半導体の光・電子機能の発現メカニズムを十分に理解し、それをベースにより高性能な材料を開発し、さらにはこれまでになかった新しい機能をもつデバイスの開発や有機材料ならではの応用を展開しています。
 
メタルベース有機トランジスタ 有機発光トランジスタ
新たな原理に基づくメタルベース有機トランジスタ(MBOT)の構造と、MBOT構造を用いた有機発光トランジスタ
光エレクトロニクスデバイスへの展開
有機半導体材料の具体的なデバイス応用の一つとして、有機トランジスタに関する研究を行っています。最近私たちは、現在主流の電界効果型有機トランジスタ(有機FET)に比べて低電圧で大電流を変調することができる、メタルベース有機トランジスタ(MBOT)を新たに開発しました。MBOTは、単純な積層によって作製できるだけでなく、有機EL材料と組み合わせることでトランジスタそのものが発光する「有機発光トランジスタ」を実現できます。
 
有機材料の物性研究から生まれる
イメージング材料
マイクロレンズアレイ 有機ELのパターニング
シリコンポリマーのUV光分解にともなう物性変化を利用したマイクロレンズアレイ(左)と有機ELのパターニング(右)
有機材料は、光や熱などの刺激に対して、分子構造が変化したり、反応していろいろな性質が変化します。このような物性変化は、画像の表示や記録といったイメージング材料として利用することができます。私たちは、有機材料の物性研究の中で見つけ出したユニークな現象を利用して、新しいイメージング材料としての応用を展開しています。